庭のシジュウカラの巣立ち(自宅)

6月上旬の上高地の遠征から帰ってみると、シジュウカラの雛はまだ巣立っていなかった。どうやら巣立ちの瞬間に間に合ったようだ。

巣立ちが近づくと親鳥は巣箱に来る回数がぐっと減る。その理由は餌を減らすことによって餌がほしい雛を巣箱からおびき出す効果があるからだろうが、そのほか、雛の体を軽くさせて巣から出た時にすぐ飛びやすくする効果というのも考えられる。

そしてその瞬間は親鳥があまり来なくなってから数日後の6月15日に訪れた。その日、朝8時ごろに巣の様子を見てみると昨日までとあまり変わらない。そこで今日は巣立たないと判断して近くに撮影に出かけたわけだが、昼過ぎに戻ってみるとなんと巣立ちが始まっていた。6羽の雛が庭の思い思いの場所にとまり、2羽の親鳥が盛んに近くの森に行かせようとさえずりながら右往左往している。

住宅街なので親鳥が目指す森までは電線が張り巡らされているが、一羽、二羽と飛び立った雛はまず一番近い電線に止まり、少し休んでは次の電線へと、だんだん私の視界から離れていった。それを見送る私の心境は、子供に対する親の気持ちとまったく同じ。どうか、無事に元気に成長してほしいと、ただそれだけを願うばかりだった。

今年の営巣の記録を最後にまとめると、巣作りの開始が5月6日、雛の誕生は5月28日、巣立ちが6月15日となる。孵化から巣立ちまで18日かかったことになるが、ネットで検索してみると、だいたい、この値が平均のようだ。なお、ここに掲載した雛は最後まで庭に残った一羽だ。なかなか森に行かないので心配したが、今頃、元気にやっているだろうか。どうか、無事であってほしいものだ。

シジュウカラの巣立ちを撮る
巣立ったばかりのシジュウカラ

                                                                                     © 昆野安彦 山の博物記