上高地のコウチュウ目昆虫

昆虫はその形態などにより30の目(もく)に分類されるが、この30目の中でもっとも種数の多い昆虫がコウチュウ目である。そのため、上高地でも多様なコウチュウ類を観察できるが、とくに多いのはカミキリムシの仲間だ。

上高地のカミキリムシでもっとも目につくのは花に集まるハナカミキリだ。上高地では7月~8月にオニシモツケやノリウツギの白い花が咲くが、ハナカミキリはこの白い花に群がって花粉を食べている。よく見かける種類はカラカネハナカミキリ、ニンフホソハナカミキリ、アカハナカミキリなどである。また、アオアシナガハナムグリやトラハナムグリなどの花粉を食べるコガネムシ類もハナカミキリに混じって見つかる。

そのほかのカミキリムシでは針葉樹の倒木にシラフヒゲナガカミキリが集まり、梓川沿いの散策路では地面を歩くチュウブマヤサンコブヤハズカミキリが見つかることもある。マヤサンコブヤハズカミキリの仲間は翅が退化して飛べないため、国内では地域によって複数の種に分類されているが、上高地で見つかるのは中部地方という意味の名前がついた本種である。

クワガタムシの仲間ではヒメオオクワガタが生息しており、時折、夜の灯りに飛来している。水生昆虫の仲間では田代池の湿地にマメゲンゴロウとキベリヒラタガムシが生息している。

上高地のコウチュウ目
チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ(上高地)

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