大雪山の高山蝶ウスバキチョウの観察・研究を始めるようになってから、いつかは羽化のシーンも撮りたいと思っていた。そのために大雪山の現場に通ったわけだが、その牙城は極めて堅牢で、目的を果たせぬまま、何年も月日が経過した。
それでも、通い続ければいつかは夢が叶うものである。ある年の6月、ついに羽化のシーンを撮ることができた。それがここに掲げた写真である。蛹から脱出したばかりの小さな成虫から徐々に黄色い翅が伸びてくる様子は、今思い出しても夢のような時間だった。
天然記念物・高山蝶ウスバキチョウの羽化 |
© 昆野安彦 山の博物記