オオイチモンジ

上高地の梓川の岸辺を夏に歩くと、時折、このオオイチモンジに出会うことがある。全国的に見るととても珍しい高山蝶だが、梓川の岸辺にはこの蝶が産卵するドロノキが多いためか、上高地ではそれほど珍しい蝶ではない。

成虫の出現期は7月半ば頃で、メスは交尾後、ドロノキの葉に産卵する。ほどなくして孵化した幼虫はドロノキの葉を食べて成長し、秋になるとドロノキの枝に小さな筒状の巣を作り、その中で冬を越す。越冬態は2~3齢幼虫で、翌年休眠から覚めた幼虫はドロノキの葉を食べて成長し、6月頃、ドロノキの葉表で蛹化、その後羽化する。

若い時に梓川の岸辺で幼虫や巣を探したことがあるが、案外簡単に見つかったことを覚えている。ところが最近は見つからない。成虫はたくさんいるのに不思議だが、私が若い頃と比べるといろいろな環境変化があり、その結果ではないかなと推測している。

YouTubeにアップしている動画では成虫の姿とともに梓川の流れの音も入っているが、それがいかにも上高地で撮ったことを想像させ、自分で言うのもなんだが、なかなかいい出来栄えの動画だと思っている。














                                                                                   © 昆野安彦 山の博物記