この写真は大雪山の緑岳でナキウサギを撮っている時、偶然、目の前の岩に現れたエゾオコジョである。
撮影チャンスはほんの数秒で、この写真の他には2カットしか撮れなかった。しかも2頭が揃ってこちらを向いているのはこのカットだけである。その点では、偶然とはいえ、私の代表的な写真の一つと言えるだろう。
エゾオコジョはユーラシア大陸、サハリンに広く分布するオコジョ(Mustela erminea)の1亜種で我が国では北海道に分布する。体長は22~24cm、尾長7~9センチほどである。夏と冬で毛が生え変わり、夏毛は背面が茶褐色で裏面は白色。冬毛は全身が光沢のある白色である。ただし尾の先端部は夏毛でも冬毛でも黒色をしている。
おもに肉食性でエゾヤチネズミなどの小動物のほか、時には自分より大きいエゾユキウサギも襲うことがある。繁殖期は春で、岩塊帯の隙間などの巣穴で出産する。交尾は子育て中の夏に行われるが、実際の出産は翌年の春である。この理由は受精卵が翌年の春まで着床しないからである。産子数は4~5頭と言われている。
緑岳で出会った2頭のエゾオコジョ |
© 昆野安彦 山の博物記