上高地の常緑広葉樹

上高地の常緑広葉樹の種数はとても少ない。私が確認しているのはアカミノイヌツゲ、ホンシャクナゲ、フッキソウ、ツルマサキの4種だけである。 

アカミノイヌツゲはモチノキ科の高さ1mほどの常緑小低木。名前は赤い実をつけるイヌツゲで、庭木に用いられるイヌツゲは黒い実をつける。花期は6~7月で本年枝の葉腋に白い小さな花を咲かせる。上高地では岳沢湿原などに自生している。

フッキソウはツゲ科の高さ15cmほどの常緑小低木。茎が地面を這い、地面を覆うように群生する。花期は春で、5月頃に立ち上がった茎の先端に白い花を穂状に咲かせる。上高地では小梨平などで見ることができる。

ホンシャクナゲはツツジ科の高さ5mほどの常緑小低木。ツクシシャクナゲの変種で、上高地では明神付近の散策路沿いの崖や斜面で見ることができる。花期は6月で、枝先にピンク色の花を横向きに多数つける。

ツルマサキはニシキギ科のつる性木本。枝から多数の気根を出して他の樹木に這い登る。花期は7月で径5ミリほどの小さな白い花を咲かせる。

それにしても常緑広葉樹が4種だけというのは少し寂しい。ほかに自生していないか、上高地に行くときは気をつけてみようと思っている。

林床に咲くフッキソウ(上高地)

                                                                                    © 昆野安彦 山の博物記