大雪山の水生昆虫類

大雪山の湿原や池塘には水生昆虫も生息している。ここではトンボ以外の水生昆虫について紹介する。ゲンゴロウ類ではゲンゴロウモドキ、ダイセツマメゲンゴロウ、キタヒメゲンゴロウ、ワタナベナガケシゲンゴロウが見られる。

コウチュウ類ではそのほかナガマルガムシ、ミヤマミズスマシも生息している。大雪山の池塘にはコウチュウ類のほかにカメムシ目の仲間も多く、セアカアメンボ、エゾコセアカアメンボ、マツモムシ、ミズムシなどが生息している。

以上の水生昆虫は幼虫も成虫も水中や水面で生活する種類だが、幼虫の時期だけ水中で過ごす種類がいる。アミメカゲロウ目のセンブリや木の葉で作った巣の中に潜むアミメトビケラだ。これらの幼虫は成虫になるとトンボのように生活圏を陸上に移している。

水生昆虫の多くは肉食性だが、彼らは大雪山で何を食べているのだろう。水生昆虫どうしの補食もあるだろうが、両生類の幼生や卵も餌にしていると思われる。一見静粛に見える大雪山の池塘も、その中では水生生物同士の生きるか死ぬかの過酷な生存競争が行われているのだろう。

大雪山の水生昆虫類
センブリの若齢幼虫(左)と老齢幼虫(右)
                                                                                     © 昆野安彦 山の博物記