大雪山のコウチュウ目昆虫

大雪山のコウチュウ目昆虫で最も有名なのはダイセツオサムシだ。チシマオサムシの一亜種で,大雪山以外では羊蹄山の高山帯に生息するが、全く飛べない本種が大雪山と羊蹄山の高山帯に生き残った背景には氷河時代からのさまざまな要因が関与していると思われる。

ダイセツオサムシより一回り小さなキタアラメナガゴミムシも大雪山高山帯に生息するコウチュウ類で,ダイセツオサムシと同じような環境に多い。そのほか、ヒメクロオサムシ、キタマルクビゴミムシなども石の下からよく見つかる。

コウチュウ類は石の下ばかりでなく、大雪山のさまざまな陸生環境に見られる。とくに青い色をしたカワカミハムシは個体数が多く,ウスユキトウヒレンなどのキク科植物の葉を食べている成虫や幼虫の姿を見かける機会が多い。また緑色に輝く高山性昆虫のアラコガネコメツキも時折風衝地で見かける。両種とも大雪山だけに生息するわけではないが、登山の折りに見かける機会があったら、その姿をじっくり見ていただきたい。

アオカタビロオサムシ(大雪山)
高根ヶ原で採集したアオカタビロオサムシ

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