大雪山の構造土

大雪山を歩くと、地表面にさまざまな構造土を見ることができる。構造土とは土壌が凍結と融解を繰り返すことによって地表面に形成される幾何学模様のことである。構造土はその幾何学模様の形により、多角形土、円形土、条線土、階状土などに区分されている。

構造土が形成される過程をもう少し詳しく説明すると、土壌水分が凍結と融解を繰り返す過程で粒度の粗い礫が凍上現象で持ち上がり、その下に粒度の細かい堆積物が潜り込む。下層の粒度の細かい堆積物は地表面の砂礫よりも水分の保持力にすぐれるので、凍結した際に地表面より大きく膨張する。この土壌の上下面での体積変化の差が礫の横への動きを生じさせ、結果として粗い礫が一定の場所に集結して幾何学模様状になる。

写真は大雪山で撮影した多角形土または円形土である。多角形の線状に大きな礫が見事に並んでいる様子がお分かりいただけるだろう。

構造土の一例・多角形土

                                                                                © 昆野安彦 山の博物記