大雪山の蝶類

大雪山には山麓から高山帯までさまざまな蝶が生息している。高山帯には高山帯で生活史を完結させる、いわゆる「高山蝶」が生息している。ウスバキチョウ、ダイセツタカネヒカゲ、アサヒヒョウモン、カラフトルリシジミ、クモマベニヒカゲの5種である。

高山帯にはそのほか、麓から風に乗って飛来する蝶も見られる。私がこれまでに観察したのは、ミヤマカラスアゲハ、キアゲハ、コヒオドシ、キベリタテハ、エゾミドリシジミ、トラフシジミ、エゾシロチョウ、エゾスジグロシロチョウ、オオモンシロチョウ、モンキチョウ、オオイチモンジなどである。このうちキアゲハはセリ科植物から幼虫も見つかることがあるが、越冬の確認はできていない。

大雪山の山麓では夏になるとさまざまな蝶が見られる。層雲峡周辺では、ヒメウスバシロチョウ、エゾシロチョウ、ホソバヒョウモン、カラフトヒョウモン、アカマダラ、シロオビヒメヒカゲ、カラフトセセリ、カラフトタカネキマダラセセリ、ジョウザンシジミなどの北海道特産種や、オオイチモンジ、コヒオドシ、コムラサキ、シータテハ、コヒョウモン、キベリタテハ、クジャクチョウ、ヒオドシチョウ、ギンボシヒョウモン、メスグロヒョウモン、ミドリヒョウモン、フタスジチョウ、イチモンジチョウ、サカハチチョウ、エゾミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、カラスシジミ、カバイロシジミ、ヒメシジミ、キバネセセリ、コチャバネセセリ、ベニヒカゲ、オオヒカゲなど、多種多様な蝶類が見られる。源泉かけ流しの温泉宿に泊まり、こうした蝶類の観察をするのも楽しいだろう。

カラフトルリシジミ
カラフトルリシジミ(大雪山)

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