大雪山の高山植物

高山植物の宝庫、大雪山。シーズン中はさまざまな花がここかしこで見られる花の楽園だが、ここでは季節の順に大雪山の花々の幾つかを紹介しよう。

大雪山の春は6月。まだまだ残雪は多いが、陽当たりの良い場所では6月上旬に早くも高山植物の花が咲きだす。イワウメ、ミネズオウ、エゾオヤマノエンドウ、ウラシマツツジ、ガンコウランなど風衝地の花たちだ。

春の花が顔を揃えるのは6月下旬。この時を待っていたかのように、エゾタカネスミレ、ホソバウルップソウ、エゾタカネツメクサ、キバナシオガマ、キバナシャクナゲ、タカネオミナエシ、チョウノスケソウ、ミヤマアズマギクなどの花が次々に開花する。沢筋ではエゾノリュウキンカの鮮やかな黄色い花も見ることができる。

7月になると、今度は初夏の花が見ごろを迎える。コマクサ、イワブクロ、エゾコザクラ、チングルマ、ミヤマリンドウ、ヒメクロマメノキ、コケモモ、イワギキョウ、エゾノハクサンイチゲなどである。

そして8月の声を聞くと、大雪山の夏の最後を飾る花々が顔を揃える。クモイリンドウ、チシマクモマグサ、クモマユキノシタ、チシマノキンバイソウ、エゾツガザクラ、アオノツガザクラ、ダイセツトリカブト、トカチフウロ、ヨツバシオガマなどである。

お盆を過ぎると大雪山は早くも秋の気配。ウラシマツツジが赤く色づき始め、高山帯には寂しさが漂うが、花期の遅いチシマアザミ、ミヤマアキノキリンソウがまだまだ花をつけて頑張っているし、雪解けの遅い場所ではエゾコザクラやチングルマがまだ咲いていたりする。

9月に入るといつ初雪があってもおかしくないのが大雪山。その頃になるともう花は難しいが、その代わりに紅葉と黄葉が織りなす秋の錦繍模様が花の代わりに眼を楽しませてくれるだろう。








                                                                          
   © 昆野安彦 山の博物記