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登山者の祭典、涸沢フェスティバルにゲストとして参加しました。
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© 昆野安彦 山の博物記
人間が見ることのできる光を可視光と呼ぶが、可視光は波長がおよそ380nm~780nmの電磁波で、波長の短い順に紫、青、水色、緑、黄、橙、赤となる。可視光は太陽のほか照明器具からも発せられるが、ここで重要なのは水分子が波長の長い赤色光領域を僅かながら吸収する性質があることである。この性質により梓川に入射した太陽光は赤色光の補色である青緑色光領域が散乱・拡散されて私たちの目に届くことになる。これが梓川が青く見える理由の一つである。プールの水が青く見えるのもこの原理によるし、無色透明と思われがちな純水もじつは僅かに青みを帯びている。
梓川が青く見えるもう一つの理由は川底の色である。白色は可視光をほぼ100%反射する時の色なので、川底が白いほど水底に届いた青緑色光がよく反射され、さらに水がより青く見えることになる。梓川を観察すると川底が白っぽい場所が多く、そうした場所ほど水が青みを帯びている。たとえば明神の梓川左岸では花崗岩が細かく砕けてできた白い土砂が梓川の岸辺に流入しているが、そうした場所では川底は白味が強く、ほかの場所より水が青みを帯びた流れとなるわけだ。もちろん、よく晴れた日の空の青色の水面での反射も、ある程度は梓川の水の青さに寄与しているだろう。
この原理からすると、プールの水をより青く見せるためには底面を白く塗ればいいことになる。実際、都会のちょっとおしゃれなホテルのプールの壁や底はほとんどが白く塗られていることに気づくだろう。
この雪形は山と渓谷2019年3月号に掲載された私のエッセイ「徳沢の娘」に由来する。ある年の6月、徳沢のテントの傍らで前穂高と明神岳を眺めていた時、その鞍部付近に長い黒髪の若い女性に似た雪形を見つけたという内容だ。例年は6月に入ってから見ごろになるが、2021年は季節の推移が早く、また5月21日に大雨が降ったせいもあり、この日の見ごろになったと思われる。
ところで一般に雪形というと古来からの伝承に由来するものが多いが、最近は個人が新しく見いだしたものも含まれている。例えば田淵行男の北アルプス中岳の「舞姫」だ。私が見つけた「徳沢の娘」もそれと同じ部類だ。
話を5月24日に戻すと、徳沢の娘を写していた時、近くにいた家族連れが子供に「徳沢の娘」を説明している声が聞こえてきた。とても驚いたが、聞いてみるとヤマケイを見て知っているとのことだった。もしかすると、「徳沢の娘」も少しずつ市民権を得だしたのかなと思っている。
2002年にこの湿原で環境省の許可のもとに水生昆虫の調査をしたが、写真はその時に撮影したパルサだ。左手の茶色い泥炭の高まりがパルサで、付随する水たまりは永久凍土が溶けるサーモカルストによって生じたものである。この水たまりではアミメカゲロウ目のセンブリや高山性トンボのクモマエゾトンボのヤゴなどを採集している。
その後、私はこの場所を訪れていないが、最近訪れた人の話ではサーモカルストによって凍土丘は消滅しつつあるとのことだった。もしかすると、写真のようなはっきりした丘状のパルサはもう見ることができないのかもしれない。
| パルサ(左)とサーモカルストによって生じた水たまり |
場所は上高地浄化センター近くの焼岳登山口。ここは梓川の右岸側だが、登山口の前には小さな流れのある広大な草むらが梓川に向かって広がり、この場所を御存知の方なら野生動物の生息に適した場所であることが分かると思う。
YouTubeにアップした動画では、最後に焼岳登山口を写している。撮影時、あれ、上高地に鹿っていたかな?と思ったので、念のため、動画撮影の最後にカメラを振って写したものだ。
| 上高地で初めて発見されたニホンジカ |
仙台ではカワセミの生息調査を特にしたことはないが、これまで見たことのある場所を書き出してみると、台原森林公園、仙台城址(長沼と五色沼)、広瀬川(南部道路~仲ノ瀬橋)だ。広瀬川では水辺を疾風のように駆け飛ぶ姿を時折見かけるので、かなり広範囲に生息していると思われる。
ここに掲げた写真はその広瀬川での撮影だ。ちなみにカワセミの羽毛はそれ自体が青いわけではなく、微細な羽毛構造が生み出す光の干渉色(構造色)である。いつかそれを確かめてみたいと思うが、水辺を飛ぶこの鳥の羽毛を拾うチャンスはまずないだろうと思っている。
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| カワセミ(広瀬川) |
© 昆野安彦 山の博物記
成虫の出現期は一般に8月半ばから9月の終わりにかけての秋で、この季節に咲くさまざまな花を訪れる。たとえば、オミナエシ、コスモス、ミソハギなど。メスはスジボソフトハナバチという同じ蜂の一種が作った巣に産卵し、孵化した幼虫はスジボソフトハナバチが自身の子のために蓄えた餌を食べて成長する。このような寄生の仕方を「労働寄生」と呼ぶが、これは簡単に言うと、他人が一生懸命労働して蓄えたものをちゃっかり横取りするという寄生だ。
幸せを呼ぶ青い蜂という名称はベルギーの詩人メーテルリンクの童話「青い鳥」に由来する。この童話はチルチルとミチルの兄妹が青い鳥を探しに旅に出かけるが、旅では手にいれることができずに家に帰ってみると、なんと家の中にその青い鳥がいたという内容だ。そのストーリーの意味するところは、幸せは案外身近なところにあるんだよ、ということなのだろう。
今回の場合もいつも自然観察に訪れている身近な野草園での発見で、これはまさに青い鳥のストーリー。そういう点では、この小さな蜂は青い鳥ならぬ、まさに幸せを呼ぶ青い蜂と言っていいだろう。私が見つけたこの青い蜂の「幸せ」を皆さんにも是非、共有していただければと思う。
山と渓谷オンラインの記事 幸せを呼ぶ青い蜂ルリモンハナバチ
私のYouTubeではこの蝶の飛翔を高速度で撮影した動画をアップしているが、翅の動かし方などが分かりやすい。興味のある方はご覧いただければと思う。
| アサギマダラ(仙台市野草園) |
当時、ヒメギフチョウはさほど珍しい蝶ではなく、青葉山のかなりの範囲で生息地を見つけている。しばらくは研究ができるだろうと期待したが、翌年になると状況は一変した。一気に個体数が減少したのだ。
2007年になると状況はさらに悪化し、目撃できたのは僅かに数個体だった。そして翌年にはとうとう1個体も見つけることができなかった。この急激な減少の原因についてはどの場所も一気にいなくなったことから、越冬時や天敵生物による致死率がマイナスに働いたことなどが考えられる。
それでもどこかに生き延びているだろうと、毎年春になると青葉山を歩き回った。しかしその願いは何年もむなしく終わった。こうした経緯から青葉山では絶滅したのではないだろうかと思うようになった。
2023年3月31日、この日、私はかつての生息地を訪れていた。カタクリは満開で、もし生き残っていれば飛んでもおかしくない。しかし、どこにも姿はない。やっぱり、だめか。そう結論づけて立ち去ろうとした時、1頭のヒメギフチョウが笹原ごしに飛んでくるのが見えた。青葉山のヒメギフチョウはまだ絶滅していなかった。きっと私の知らないどこかに生息地があり、そこで個体数を維持していたのだろう。
この2023年の再発見以降、本格的な生息調査は行なっていない。一つの理由はクマだ。かつての生息地の多くが藪となり、最近のクマ多発の状況では調査を自粛せざるを得なかった。きっと私の知らない生息地がどこかにあるのだろうが、その場所を見つけることはもうないかもしれない。
写真は私が青葉山で撮影した最後の個体だ。以後、目撃はできても撮影の機会には恵まれていない。
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| 青葉山のヒメギフチョウ(2007年4月7日) |
珍しいという点ではアゲハチョウ科のウスバシロチョウも珍しい。青葉山で私が知っている生息地はごく小面積の一ヶ所だけ。長年その周辺をくまなく調査してきたが、他には見つけていない。ところが2018年5月、そこから1キロほど離れた場所で♂が飛んでいるのを見つけた。この時は我が目を疑ったが、まちがいなく本種だった。てっきり私の知る場所から飛来したのだろうと思ったが、翌日同じ場所を訪れてみると今度は数個体のオスが飛んでおり、ここで発生したことは間違いなかった。恐らく、前年この場所に偶然飛来したメスが林床に産卵し、それから孵った幼虫がこの場所で羽化したものと思われた。実際、林床には食草のムラサキケマンが自生しており、生息環境としては申し分なかった。
そこは東北大学の青葉山キャンパスから歩いて僅か5分の場所。1週間ほどは毎日この蝶の様子を見に行ったが、ウスバシロチョウは大好きな蝶なので、普段の生活の中でこんなに簡単にこの蝶に会えるのは信じられない思いだった。ちなみに同時に見た最大個体数は5♂だった。
ただ、一つ気になる点があった。それは飛んでいるのが全部オスということだった。オスだけでは子孫を残すことができない。せっかく見つけた新たな生息地だったが、この場所での発生は今年限りだろうと思った。案の定、翌年以降、この場所では未発生である。
ここにアップした動画は2018年5月21日に撮影したものである。この年限りの発生になるだろうと考えた私は、生息の証拠映像を撮っておくことにしたのである。この場所がどこかは、青葉山に詳しい人ならすぐ分かるだろうと思う。なお、コンデジで撮っているので、画質は悪いことをお断りしておく。
青葉山のウスバシロチョウ(2018年5月21日)
© 昆野安彦 山の博物記
2012年9月25日。この日、私は頼まれ仕事で朝から台原森林公園にある仙台市科学館にいた。昼休みに気晴らしで科学館の外に出てみると、黒い大型の蝶がこちらに飛んでくるのに遭遇した。最初はクロアゲハだろうと思ったが、どうも様子が違う。近づいてくる蝶の翅の基部が妙に赤い。私は瞬時に判断した。ナガサキアゲハだ!
沖縄で見たことがあるので間違いようがない。様子を見ていると近くのカラタチに産卵を始めた。翅がかなり破損していたので、ここに来るまで相当の時間経過が感じられ、その産卵行動にしても最後の力を振り絞っているように見えた。
網がないので捕獲はできなかったが、卵という貴重な証拠を残してくれた。11月に再びこの場所を訪れてみると、予想通りカラタチからナガサキアゲハの5齢幼虫が見つかった。ここに掲げた写真はその時のものだ。
以上が私が遭遇した仙台のナガサキアゲハの事の顛末でだ。仙台でのこの蝶の記録は当時も今も非常に少なく、もしかすると2012年当時としては、私のこの観察記録が本州最北の確認記録かもしれない。
| 仙台のナガサキアゲハ(5齢幼虫) |
先日、久しぶりに青葉山にあるキャンパスを訪れた。目的は野鳥だったが、森の中のとあるトレイルを曲がるとばったりとカモシカに遭遇。距離は30メートルほど。向こうもびっくりしたのか、固まって動かない。それまでカモシカの動画を撮っていなかったので、せっかくなのでこの機会に少し撮ってみる。
静止画を撮っている時は、下の写真のクワの新葉を食べていたが、YouTubeにアップした動画ではその様子は映っていない。私が目の前にいるのがやはり気になるようで、30秒ほどでゆっくりと森の中に帰っていったが、私が出逢ってきたカモシカはいつもこのパターン。脱兎のごとく走り去るというのは、ほとんど経験していない。
なお、この個体はすっきりしたスリムな体つきだが、冬毛が抜け落ちたばかりだろうからと思う。また、カモシカの角は雌雄にあるため、性別については私には分からない。
| 青葉山で出会ったニホンカモシカ |
白鳥の越冬場所としては一般には湖やため池などの止水域が知られるが、広瀬川のような流水域が越冬地なのは比較的珍しいと思う。もっとも、冬季の広瀬橋付近の水の流れはとてもゆるやか。多少流れがあるものの、白鳥にとってはこの程度は「止水域」と同じ感覚なのかもしれない。
冬は白鳥の写真も撮っているが、一番気合が入るのは飛んでいる時だ。大型の鳥なので、その動きはじつにダイナミック。広瀬橋では上流の遠くの空からこちらに向かってくる鳥影を見つけることがあるが、ファインダー越しに見る白鳥の飛ぶ姿はじつに美しい。ここに掲げた写真は2022年2月の撮影だ。
| 広瀬川の上空を飛ぶオオハクチョウ |
シジュウカラの場合、巣が完成してから雛が誕生するまでは3週間ほど。庭の巣箱でヒナが誕生するのは5月終わりから6月初めになるだろうと思う。
© 昆野安彦 山の博物記
この動画の最後の方では、親鳥が雛の白い排せつ物をくわえて巣箱から出てくる様子が写されている。この行動は巣を清潔に保つためとされているが、お分かりいただけるだろうか。雛はその誕生から僅か2週間ほどで巣立つので、巣箱から雛が飛び立つのは6月半ばと予想している。その頃、私は恐らく遠征先にいるので、巣立ちの瞬間を見れるかどうかは微妙である。
シジュウカラの餌運び(スローモーション)
© 昆野安彦 山の博物記
巣立ちが近づくと親鳥は巣箱に来る回数がぐっと減る。その理由は餌を減らすことによって餌がほしい雛を巣箱からおびき出す効果があるからだろうが、そのほか雛の体を軽くさせて巣から出た時にすぐ飛びやすくする効果というのも考えられる。
そしてその瞬間は親鳥があまり来なくなってから数日後の6月15日に訪れた。その日、朝8時ごろに巣の様子を見てみると昨日までとあまり変わらない。そこで今日は巣立たないと判断して近くに撮影に出かけたわけだが、昼過ぎに戻ってみるとなんと巣立ちが始まっていた。6羽の雛が庭の思い思いの場所にとまり、2羽の親鳥が盛んに近くの森に行かせようとさえずりながら右往左往している。
住宅街なので親鳥が目指す森までは電線が張り巡らされているが、一羽、二羽と飛び立った雛はまず一番近い電線に止まり、少し休んでは次の電線へと、だんだん私の視界から離れていった。それを見送る私の心境は、子供に対する親の気持ちとまったく同じ。どうか、無事に元気に成長してほしいと、ただそれだけを願うばかりだった。
今年の営巣の記録を最後にまとめると、巣作りの開始が5月6日、雛の誕生は5月28日、巣立ちが6月15日となる。孵化から巣立ちまで18日かかったことになるが、ネットで検索してみると、だいたい、この値が平均のようだ。なお、ここに掲載した雛は最後まで庭に残った一羽だ。なかなか森に行かないので心配したが、今頃、元気にやっているだろうか。どうか、無事であってほしいものだ。
難しいのはシジュウカラが出入りする穴だが、これは糸鋸で開けている。ちなみに木に固定する紐は処分靴のシューレースで、アウトドア用の靴紐は丈夫なので重宝している。巣箱は大体2~3年で更新するが、昨年秋に新しいものに交換した。春先に交換するよりも、秋のうちに交換する方がシジュウカラも慣れやすいだろうという配慮だ。
例年だと年明けからペアが何度も下見に訪れ、そのまま営巣というパターンだが、今年は3月になっても現れず、もしかすると穴が少し小さく、それで嫌われたのかと思い始めていた。4月になってようやく一羽のオスが現れ、毎日のように巣箱に入ってくれたので安心したが、一つだけ気になることがあった。それは来るのがいつもオスだけということだった。恐らくすでによい伴侶がいるのだろうが、実際に見るまでは安心できない。ここしばらくは、新しい巣箱と彼の動向から目が離せそうにない。
© 昆野安彦 山の博物記